完全フィクション
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今日は私の誕生日。年甲斐もなく期待していた。
一通の手紙を送って、その返事は無かったけれど。そもそも返事が来るなんてことは事前に聴いていなかったし。どうか私の願いを、ささやかな誕生日プレゼントを持って来てはくれまいかと期待して私の誕生日を書面にて伝えたのだった。
私はどこにでもいる平凡な人間だ。だからこそこんな願いも、当たり前のようだけれど、平凡な私にとってはとても大切な願いなのだ。
私は昨日の夜眠れなかった。誕生日の前日、期待して眠れないなんていつぶりだろう。もしかしたらそんな素敵な期待感は生まれて初めてなのかもしれない。少なくとも物心ついてからはこんなことは無かったように思えた。私の記憶が確かならば、だけれど。
「願いが叶うなんてことが、ああ、もしも本当に訪れてくれるのなら。私はその喜びの中で死んでしまうのかもしれない。」
頭の中の期待を口に出してみた。それは、まるで何かのまじないのような。私にとってこの誕生日プレゼントは是が非でもお願いしたい、そして実現したい夢でもあった。
昼ごろに目が覚めると、少しばかり寝すぎたせいか、体中が痛かった。いつもならその日の始まりの不調に人生を嘆いたりもするのだが今日は違う。もしも嘆くのだとしたら、願いが叶わなかった時だと、そう勝手に心に決めていた。
返事が無い以上、誕生日に合わせて来てくれるかどうかもわからないけれど。私はただひたすら、何もせずに訪問者を待った。何か別の事をして訪問者を待っていても良かったのかもしれないし、その方が時間の流れは早かったのかもしれない。
しかしながら訪問者が次の瞬間来てくれるんじゃないかと、そう考えるだけで喜びに心は落ち着かず、いてもたってもいられなくなり、とてもじゃないけど別の事をして待っている余裕なんて無かった。
そしてその時は訪れた。ドアは静かに開いて、訪問者は私の願いどおり、まるでサンタクロースのように、願いを叶えにやって来てくれたのだった。
「HAPPY BIRTHDAY。」
私がその音を聴いたのは昨晩の事だった。警察に事情聴取を受ける。お隣さんは末期の癌患者で、自宅療養を余儀なくされていたとのこと。先日ご挨拶した時に、嬉しそうに誕生日が近いなんてお聞きしていたから、てっきりあの乾いた音は誰かがお祝いしてくれているのかと。そう思いこんで微笑ましく思っていたのに。
脳天に一撃で仕留められた割には、とても穏やかな死に顔をしていたらしいので、それがせめてもの救いだったのかと自分に言い聞かせた。
一通の手紙を送って、その返事は無かったけれど。そもそも返事が来るなんてことは事前に聴いていなかったし。どうか私の願いを、ささやかな誕生日プレゼントを持って来てはくれまいかと期待して私の誕生日を書面にて伝えたのだった。
私はどこにでもいる平凡な人間だ。だからこそこんな願いも、当たり前のようだけれど、平凡な私にとってはとても大切な願いなのだ。
私は昨日の夜眠れなかった。誕生日の前日、期待して眠れないなんていつぶりだろう。もしかしたらそんな素敵な期待感は生まれて初めてなのかもしれない。少なくとも物心ついてからはこんなことは無かったように思えた。私の記憶が確かならば、だけれど。
「願いが叶うなんてことが、ああ、もしも本当に訪れてくれるのなら。私はその喜びの中で死んでしまうのかもしれない。」
頭の中の期待を口に出してみた。それは、まるで何かのまじないのような。私にとってこの誕生日プレゼントは是が非でもお願いしたい、そして実現したい夢でもあった。
昼ごろに目が覚めると、少しばかり寝すぎたせいか、体中が痛かった。いつもならその日の始まりの不調に人生を嘆いたりもするのだが今日は違う。もしも嘆くのだとしたら、願いが叶わなかった時だと、そう勝手に心に決めていた。
返事が無い以上、誕生日に合わせて来てくれるかどうかもわからないけれど。私はただひたすら、何もせずに訪問者を待った。何か別の事をして訪問者を待っていても良かったのかもしれないし、その方が時間の流れは早かったのかもしれない。
しかしながら訪問者が次の瞬間来てくれるんじゃないかと、そう考えるだけで喜びに心は落ち着かず、いてもたってもいられなくなり、とてもじゃないけど別の事をして待っている余裕なんて無かった。
そしてその時は訪れた。ドアは静かに開いて、訪問者は私の願いどおり、まるでサンタクロースのように、願いを叶えにやって来てくれたのだった。
「HAPPY BIRTHDAY。」
私がその音を聴いたのは昨晩の事だった。警察に事情聴取を受ける。お隣さんは末期の癌患者で、自宅療養を余儀なくされていたとのこと。先日ご挨拶した時に、嬉しそうに誕生日が近いなんてお聞きしていたから、てっきりあの乾いた音は誰かがお祝いしてくれているのかと。そう思いこんで微笑ましく思っていたのに。
脳天に一撃で仕留められた割には、とても穏やかな死に顔をしていたらしいので、それがせめてもの救いだったのかと自分に言い聞かせた。
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